実家

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「サララちゃんとこの娘に関係しているんじゃないかと思うの... 昔の事なんだけど... 20数年位前かな...? この店で手伝いをしてた人... 詳しくは分からないの... 多分 バイトかパートさんだったと思うんだけど... ミイさんって人... 知らないかな、母さん。」 桜子が聞くと母親は思い詰めたように2人を見つめた。 「うん...そうね... ミイさんじゃないけど... ううん、そう呼ぶ人も居たわ... 多分あの人の事だったらこの家ではタブーと言うか何と言うか... 私の口からはちょっと言い辛いわ。 お父さんから直接聞くほうが良いと思う。 ただ... 本当にお2人に関係があるんだったら大変な事になると思うわ。 出来るだけ早いほうが良いと思うの。 ちょっと待っててね。」 母親はそう言うと厨房に入って行った。 わたしは昨夜の過去帰りの出来事をこの時 初めてサラサに話した。 「ええ! このお店で働いていた?  そんな事って... こんな身近な所に居ただなんて...」 サラサは言葉を失くしていた。 暫くすると目を赤く腫らした母親が来て、 「どうかしら...今夜の予定は? 父さんが早いほうがいいから... よかったら家に来れないかって...」 「出来ればサララも一緒の方が良いよね。 連絡してみようか?」 桜子が言うとサラサは強く頷いた。 サララは直ぐにでも行きたいとスタッフに相談したが、どうしても仕事を抜け出せないようだった。 午後8時頃には来れるという事だったのでサラサも一旦家に帰り、旅支度を解いて改めて来る事にした。 サララとサラサは待ち合せて桜子の実家へ向かった。 長谷部も誘ったがどうしても外せない用事があるとの事で来れなかった。 家では桜子と両親が神妙な面持ちでリビングのソファで固まっていた。 「食事は済ませてくるかしら... 何かお茶菓子でも買って来ようかしら...」 母親は混乱しているようだった。 「母さん、うちは和菓子屋だから心配しないの。 お茶もジュースも用意してるから...」 桜子が微笑んだ。
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