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「さっき言われたようにわたし達...一卵性双生児なんです。
でもこの事は最近分かったんです。
実は別々の家庭で育ったので...
未だに信じられないんですが...
養子だって事もお互い最近知ったばかりなんです。
だから訳あってわたし達は実の親を探し回っています。」
サラサは自分達の今までの事を理路整然と話し、そして平泉で聞いたミイさんの話しをした。
腕組みをしてサラサの話を一語一句、頷きながら聞き終えると父親は目を閉じて大きな深呼吸を1回して話し始めた。
「平泉...ですか...
そんな遠いところに...
分かりました。
この事は殆どの人は知らないし忘れ去られた事件です...
と言うか、決して忘れてはならない事件なんですが...
娘の桜子さえも知らないし言って来なかった。
実は...私には妹がいました...いえ、います。
悠木美代って言います。
ああ、結婚したので栗野美代です。
彼女は...」
父親は涙を浮かべ、そして流しながら自分が知る美代の全てを話した。
そして話し終わると美代の写真をテーブルに置いた。
中学の時、高校の頃、大学入学の頃、結婚式の時、どれを見ても笑顔に溢れたサララとサラサだった。
ソファを囲む皆んなが涙を堪えられずにいたが、特にサララとサラサは抱き合って大泣きした。
「私が初めてTVでサララさんを見つけた時、目を疑ったよ。
美代そのものだったからね...
だからある意味 強引に君の事務所に押しかけたんだよ。
あの時はすまなかったね...
私も切羽詰まってたから
でも君は優しかった。
優しく接してくれた。
美代と久しぶりに出会えた気がしたんだよ。」
父親は今まで抑えていた感情が溢れ出し声を出して泣いた。
涙と嗚咽がリビングに溢れた。
どれほどの時間が過ぎたのだろう、サラサが呟いた。
「じゃぁ、お父ちゃんはどこ...?
このお店にいるんですか?
他のお店ですか?
呼んでもらう事って出来ませんか?」
「もちろんそうしてあげたいんだが...
お2人には酷な話続きで言い出せなかったんだけど...
彼...栗野政人は美代がいなくなって6年が過ぎた頃に病を患って亡くなってしまいました。
まだまだ若かったし...
これからだったのに...」
再び涙で溢れた。
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