実家

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桜子も驚きとショックで言葉を失くし涙で満たされた。 昔 この店で働いていた人だとばかり思っていただけに父親の話はあまりにも予想の域を超えていた。 おばの存在を初めて知り、しかも友だちと思っていた2人とはいとこ同士かもしれないという事に驚かずにはいられかった。 話は尽きなかったが日も変わりサララとサラサは帰ろうと立ち上がって挨拶した。その時 父親が、 「サララさんは大変な事件に巻き込まれたけど大事に至らなくて本当に安心したよ。それに君達自身の真実が明らかになって来て辛い思いをしてる事だろうと思うよ。 もし必要であれば検査をしてもいい... きっと君達に流れている血は美代のものだろう... 私や桜子を調べれば多分ハッキリするのではないかな... あの津波災害が起きたのは確か美代が失踪して3年後くらいだったと思うけど、生まれたばかりの君達はあの災害にあって皆んなが離れ離れになったという事になるね... しかしどうしてそんな不幸が重なるのか... 私達はどんな事でも協力するから妹探しを手伝わせて欲しい。」 父親は2人に頭を下げながら言った。 「ありがとうございます、すごく心強いです... 検査の件はまたご相談させて下さい。」 サララが軽くお辞儀をしながら言った。 それから数日後、サララは都心の公園でドラマの撮影がありサラサと桜子が陣中見舞いに訪れた。もちろんサラサは完璧な変装をしていた。ユウキサラヤのとんかつサンドを差し入れた。 この日はサララの撮影が終わるという日でもあった。 サララは戦国時代から現代にタイムスリップして来た忍者の役柄で主役でもあった。2人は何度となく現場に同行して来たが、何度見てもサララより緊張した。 監督の ”カット!” の声が公園に響き渡り一瞬 沈黙が走るとサララは満面の笑みを振り撒きながら皆んなに頭を下げた。 スタッフから花束を手渡されると目頭を押さえた。 3人は明るい日差しが降り注ぐ公園のベンチに座りミヨさん探しの方法やDNA検査の事とかを話し合っていた。 白い猫がベンチの下で愛想よくニャーと鳴きながら歩いている。 サラサは忍者の衣装をどうしても欲しいとサララにねだっていた。 すると... 「あれって...シルシだよね。」 サララが突然向かいのベンチを指差した。 さっきの白猫が毛づくろいしているすぐそばにポカリと丸いシルシが浮かんでいた。 桜子はそのシルシをボンヤリと眺めていると突然目の前が真っ暗になってしまった。
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