第一章 亀井先生と大迫

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第一章 亀井先生と大迫

三人が玄関先で固まっていると 大迫は人差し指を唇に当てて、 “静かに!”のジェスチャーをする。 「先生はまだ寝てるよ。どうぞ。」 彼はまるで自宅かのように、アキヒトたちを招き入れた。 広い家で、シンプルだが贅沢な造りだ。 吹き抜けのようになっていて天井は高く、 ロフトのような場所にベッドが見える。 ロフト以外の一階部分は、ウォーキングクローゼットを除いて ワンフロアになっており、家具で仕切られていた。 ハルカさんの部屋に初めて入ったときも立派だと思ったが ここはその比ではない。 「すごい部屋。」 と、アキヒトはため息をついた。 いくら稼いだらこんなところに住めるのか? しかし、今はそんなことを考えている場合ではなかった。 「大迫、なんでお前が先生の部屋にいるんだよ。」 詰問するように言うと、その途端昨日のママに聞いた デリヘルの話がよみがえってきた。 あれだけ先生を“ホモ”だと言って毛嫌いしてたくせに。 彼がそう思いながら大迫を見ると、 大迫は耳まで赤くなった。 夕べ先生と何かあったのだろうか? アキヒトはハルカさんと佐藤さんの二人を見るが、 表情には何も現れていなかった。
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