第22章 アロ・イトナ

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クリカ達が走った道の少し先が90℃に曲がる道になっていて、そこを曲がると大通りからも見える、白い建物に到着してしまう。 その曲がり角に近づくと 「カシム、これ以上はまずいですよ」 僕の声を無視してカシムが角を曲がっていく 僕は立ち止まっていると、リオキ、ルタン、そしてメケスまでもがカシムを追うように角を曲がって行った。 えっ?バレちゃうよ しょうがなく僕も角を曲がると白い建物が目に入り、その建物が教会だと気づいた。 「この世界でも教会があるのか?」 少し立ち止まり、教会を見入ってしまった。 あれ? 目の前に協会の扉が見えるが、皆の姿が見えない。 もしかして、教会の中に入っていったの? 僕は教会の扉を恐る恐る開けると、足元は赤いバージンロードになっていて、奥の教壇まで一直線に延びている。 まるで本当に地球の教会の様な作りであった。 そしてその教壇の前で、クリカとコサイが向き合っている姿が目に入った。 何? 結婚式? どうしていいか分からず、教会から外に出ようと振り返ろうとすると 「マコトも見てなさい!」 教壇の前にいるクリカが僕に叫んだ。 言われるまま、再度教壇の前にいるクリカとコサイを見つめる。 しばらく二人は見つめ合い、クリカが重い口を開けた。 「コサイ、私と結婚しなさい。今すぐよ!」 何だ? これってプロポーズなの? 「うん。僕もクリカと一生一緒にいたい」 「では、今、結婚したわ。みんなが承認よ!」 いつのまにか全員が教会の椅子に座っている。 カシム「クリカちゃん、おめでとう」 ルタンは感極まって涙を流している。 えっ?これってドッキリ? そして、クリカとコサイは見つめ合い、皆の前でキスをする。 牧師の言葉は無いが、地球と同じ様な順序で式が行われていく。 地球なら、ここで指輪をはめるのだが? 今度はカシムが小さいナイフの様な物を持って、二人に近づいた。 何でナイフ? クリカが左手をカシムの前に差し出す。 カシムがクリカの左手の薬指にナイフで1mmぐらいの傷をつける。 今度はコサイが左手をカシムに差し出すと、クリカと同じ様に左手の薬指を少しだけナイフで傷つけた。 ほんの1mmあるかないか分からない程の傷から、ほんの少し血が滲んできた。 二人はお互い切れている左手の薬指の傷を会わせた。 お互いの血が交わる。そして次の瞬間、二人の体が白く輝いた。 虹色の光が二人を包み込む。 幻想的な光景である。 その光は教会全体に広がっていく。 「お~」 あまりの美しさに声が出てしまう。 「終わったわ!」 お互い向かい合う様に立っていたクリカとコサイは、二人して僕の方に体を向けた。 「これで、私とコサイは一心同体よ!だから明日は二人共連れて行きなさいよ」 「え~何で?結婚したのでは無いの?」 「コサイに私の地の能力を引き継いだわ。これで足手まといにはならない筈よ。」 「まさか、その為に結婚したの?」 「そんな事は無いわ!ちゃんとコサイを愛してるわよ!」 思わずいきおいで言ったのだろう、クリカの顔が真っ赤になる。 クリカはしゃがみ込んで恥ずかしがっていた。 見た目は女性同士の夫婦で不思議な感じだが、とてもお似合いの夫婦の誕生を心より祝うのであった。 「何だ、この匂いは?」 教会内に異臭が漂う 大きな箱を持って飛んできたアミンが 「これじゃよ。結婚祝いじゃ、受け取れ!」 ここにいる人数分のイカ焼きを持ってアミンが教会に入ってきたのであった。 教会内でイカ焼きを皆で頬張り、なんとも異様なイカ焼きでの披露宴となった。 そしてスワ家に帰り、クリカは祖父母に結婚の報告をした。 夜は大宴会となり、夜中まで宴は続いた。 宴が終わると、コサイはクリカの部屋に泊まる事となり、アミンと二人の部屋で一晩を過ごしたのであった。
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