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「……えっ?何で?私、さっきまでお店の外に…!」
「せっかくですから商品をご覧になって下さい。
きっとあなたにぴったりの物が見つかりますよ」
慌てている私に、男性は落ち着いた口調で語りかける。
周りを見渡すと、様々な種類のアクセサリーがたくさん展示してあった。
キラキラとした異世界のような空間。思わず見とれてしまう。
その中で一番、惹かれる商品があった。
「この……ストラップ?すごく可愛い」
スマホだからストラップは着けていないけれど、何故だかとても欲しくなってしまった。
「お目が高い!
そちらがお客様のお選びになられた商品ですね」
店の男性が両手を広げながら大袈裟にそう言った。
「いや、可愛いとは思いますけど、買うとは言ってません!」
私は慌てて言葉を返した。
そういえば、どの商品も値段が付いていない。
「お気に召されたのなら差し上げますよ。
その商品は、そちらの学生鞄に付けられる事をお薦めします」
「差し上げます……って、貰えません……!」
次の瞬間、私は道の真ん中にいた。
周りを見渡すが、さっきまであったはずの店がどこにも見当たらない。
寝不足すぎて、立ったまま夢でも見てしまったのだろうか?
しかし、自分の手の平に握られていたストラップに、さっきの事が現実だったのだと思い知らされる。
今のは一体何だったんだろう。
家に帰り、自分の部屋のベッドの上でストラップを眺める。
でもやっぱりすごく可愛い……。
そういえば、あの店の男の人が学生鞄に付ければいいとか言ってたんだっけ。
ストラップをじっと見つめている内に急激な眠気に襲われ、私はそのまま朝まで眠ってしまった。
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