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武器の使い方
感染症予防として、手洗い、消毒、咳エチケットが叫ばれています。今回は病原体に立ち向かうための武器として、定番のものから伝家の宝刀、そして懐刀について書きます。何だか偉そうですが、ご了承下さい。
まずは定番、石鹸による手洗いですが、基本的に石鹸に殺菌、消毒作用を求めてはいけません。
ヨウ素殺菌できるヨードとポリビニルピロリドンが含まれたもの、例えばイソジンウォッシュ(今あるかは知りません)なんかであれば消毒作用も期待できますが、普通の石鹸にそこまで期待するのは野暮ってもんです。
ならば石鹸で洗っても意味ないのか、というとそうでもありません。石鹸の基本要素は界面活性剤です。
油は水に溶けません。これは常識だと思いますが、ここに界面活性剤があると溶けるんですね。そして手の表面には皮脂が溜まります。手垢です。この中に病原体が蔓延っています。細菌の生息には温度と水と栄養素が必要ですが、この皮脂が栄養素になるわけです。
これを界面活性剤で水に溶かして落とします。皮脂と共に病原体を洗い流すわけです。これが石鹸の主な用途です。
石鹸による手洗いの目安ですが、三十秒ほどかけて残す隈無く洗いましょう。手には指紋の皺があります。これは物を持ったときに落とさないようにする機能がありますが、この隙間にも皮脂が、病原体が溜まります。なので隅々まで洗うと良いでしょう。
続いて伝家の宝刀、アルコール。
正確にはエタノールですが、これには殺菌、消毒効果が期待できます。理由はエタノールが有機溶剤だからです。
有機溶剤にはタンパク質を変形させ、油分を溶かす性質があります。これにより、病原体の細胞膜を壊し駆逐することができるわけです。
ただアルコールが入っていれば良いというわけではありません。最も殺菌、消毒効果が高まるのは70%濃度とされています。アルコール自体は薬局に99.5%濃度のものが売っていますので(最近はあまり見ないですが)、それを水道水で70%まで薄めて使うと良いでしょう。
では最後の頼みの綱、次亜塩素酸ナトリウム(以下:次亜)について。
これは一般家庭にもあるものだと思いますが、要は漂白剤です。ニュースでも有名になっているので存在はご存知かと思います。これはインフルエンザウイルスや、ノロウイルス等にも効果があります。
消毒の原理は塩素です。この濃度が高いほど効果は高まりますが、200ppm程度あれば消毒効果は期待できるとされています。「ppm」とは「%」と似たようなものです。「%」は百分の一を表しますが、「ppm」は百万分の一です。つまり1%が10,000ppmに当たります。なので200ppmは0.02%。原液の濃度にも依りますが、原液が5%濃度の場合、1L作るのに必要なのは4mLです。たぶん。きっと。こさじ一杯入れておけばいいですね。
ただこうして作った次亜もあまり長持ちはしません。明るい部屋の常温に晒していると一日程度で効果がなくなってしまいます。また漂白剤なので、色のある場所には使えない、素手で触れると肌が荒れる、有害ガスが発生するなど、使い勝手は悪いです。
なので基本的には石鹸による手洗いとアルコールによる消毒、どうしようもないときには次亜、くらいで良いと思います。
他にも亜塩素酸水や次亜塩素酸水など、人に優しく次亜と同じくらいの能力のものもありますので、ご自身で色々お調べになって下さい。
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