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危機
「ニャー…ニャー…」
そこには、今にも息途絶えそうな小さな小さな一匹の子猫が横たわっていた。
朝ここを通った時はこのダンボールは無かった。誰かかが意図的にここに置いていったのだ。
子猫はしばらく鳴き続けていたのだろうか、声はひどく枯れていた。
そっと体に触れてみる。
ひどく冷たい。
その体はひどく冷え切っていた。
小さな体は微かに上下に動いており、いつ止まるかわからない状態だ。
俺はそこ光景を見て、ひどく混乱していた。
どうすればいいのか、今の時間じゃ病院なんてやってない。
こんな状況誰かに見られたら自分がこの子を捨てていると間違われてしまうのではないか。
今自分がこの子を助けなければ、この子はどうなる。どうなってしまう。
子猫は虚ろな瞳で俺を見つめていた。
悲しみ、苦しみ、何よりも、その瞳からは「寂しさ」が伝わってきた。
そうか、この子は寂しいんだ。
俺と一緒でひとりぼっちなのだ。
「うち…くるか………?」
子猫は静かに頷いた。
そんな気がしたが、一刻を争う状況に俺の疲れ切った体からは信じられないほどの力がみなぎり、命対俺との深夜の徒競走が始まった。
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