それから…

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それから…

それから俺は必死に雑誌や参考書、ありとあらゆる本を読み漁り、猫の飼い方についての知識を叩き込んでいった。 相変わらず俺はひとりぼっちで必死に働いて、疲れ切って、死ぬ気で自宅に帰る日々を送っていた。 でも自宅に帰ればひとりぼっちではなくなる。 俺の帰りを待っているやつがいる。 自宅に戻ればふたりぼっちになる。 「ただいまぁ…」 玄関の扉を開けると、嬉しそうにこちらに走ってくるミルクの姿があった。 いつものように得意げにジャンプをして俺の胸に飛び込んでくる。 俺はミルクを抱きしめる。 温かかった。それはこれからも変わらない大切な温かさ。 「いい子にしてたか?」 「ニャー!ニャー!」 「わかったわかった。一緒に夕飯食べよう。」 「ニャーニャー」 「大丈夫、忘れてないぞ。ほら。」 俺は買い物袋から牛乳パックを取り出しミルクに見せた。 するとミルクはとても嬉しそうに微笑んだ。 ように見えた。 「明日は休み貰えたんだ、だからお前とたくさん遊べるぞ。」 「ニャー!ニャー!!」 「お前がいたずらして引き裂いたカーテンもまた買いに行かないとだしな…元気が良いのはいいことなんだが…今月結構カツカツなんだよなぁ…。」 「ニャー?」 「ま、お前が元気なら問題なし。これからも元気でいてくれよぉ。」 「もちろん!」 何処かから元気な返事が聞こえた気がするがきっと気のせいだろう。 気のせいに違いない。 俺は不器用に笑ってコンビニ弁当の蓋を開けた。 深夜の暗闇に、美味しそうな匂いと、温かい生活の明かりがぽつりと灯っていた。
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