第二話「12歳の誕生日プレゼント」

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「誕生日プレゼント、もうちょっと考えるわ」  テーブルを挟んで母と向かい合わせに椅子に座り、カレーを掬いながらヒロキが言った。 「ええ? もう今週末やで。早よ決めや」 「うん」  口の中で、ごろっと形の分かる大きめのジャガイモが転がった。大きく切っておけば、二日目のカレーの中でもしっかりと存在感を維持できる……それが中村家のカレーの作り方だった。 「どうせ、またゲームなんやろ?」 「……うん」  母はヒロキがゲームにハマっていることを快く思ってはいなかった。別れた夫から受け継いだ趣味ゆえ仕方がないこととはいえ、ヒロキからすれば「無理解」の三文字であった。 (あーあ、お父さんやったら一緒にゲームで遊んでくれんのになぁ……)
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