籠の中の鳥

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籠の中の鳥

暗い鳥籠の中 同意と同調を唄う 切り取られた羽根では飛び立てないと知って 隣の籠の子は昨夜地に墜ちたらしい 自由と自我を唄う夢見がちな子だった 同じ旋律奏で 同じ声色で唄う 求められる小鳥でいなかった罰だろうか 向かいの子は昨夜踏み外したらしい 個性と権利を唄う自分勝手な子だった 求められない唄を囀る小鳥は消えていく 次は誰? 次は誰 恐怖で心にも無い唄紡ぐ 隣の子 向かいの子 上の子 下の子 異なる事を唄い出したら次は自分だと知っていた 新しく入った子は綺麗な声音の可愛い小鳥 個性と自我と自由と権利 様々な唄を奏で出す 奏でる旋律は誰よりも高らかに響き 聴くものを惹きつけ魅了した 扉が開かれ次々と解放される小鳥たち 己の好きな唄を紡ぐべきだとせかされる 無責任に放りだされた私と同じ小鳥たちは 誰一人羽ばたく事無く籠の中にいて小さな声で失望を唄う 墜ちて消えた子達を愚かだと嘲笑った罰だと詫びながら 一人一人と果てていく
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