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死にたがり
ホームの最後尾最前列に立って小さく前を向く
寒さと共に起きなくなった太陽が朝なのか夜なのか錯覚させる
構内放送と微かな振動。迫ってくる小さな光
今一歩踏み出せば確実に終わりますか？
悪魔の問いかけを黙殺し白線の外側に一歩
いいえ、二歩です
少しでも重心が傾けば電流と石の罠にはまり
通過する鉄塊に引き裂かれて終わるだろうに
警笛の音につられて向くと目が合う
ひきつった祈るような顔
なぜ彼が蒼白になるのでしょうね？
嘲笑いながら一歩、また一歩内側へ
安堵した彼の顔が溜飲を下げる
あなたはなにに失望したの？
天使の問いは濁った思考をわずかに拾う
なにに失望したんだっけ
握っているはずの生殺与奪権を他人に委ねようとする弱さか
繰り返されるだけの世界かあるいはその全て
忘れてしまったがわかることはただひとつ
また、死ねなかったという事実
毎朝繰り返すイカれた駆け引きに負けたという事実
また。明日
お相手には迷惑でしかない約束を一方的にとりつけて
明日もまた同じ場所に立ち、同じ生活を繰り返す
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