思い出

1/1
前へ
/33ページ
次へ

思い出

月明り誘われ歩く道も 小声で話し笑う距離も 大切な当たり前だったはずで 特別じゃない特別な事 このまま変わらない毎日を 平凡でも幸せな日常を 何一つ溢さずに 過ごしていけると思ってた 返された砂時計 さらさらと零れて 僕と君の速さだけが違う 抱きしめた思い出を 限りある未来を数えながら残すよ いつか君が 思い出して笑うように 愛している形を 春は花見夏は夜の散歩 秋は月見冬は天体観測 辿ってはなぞっていく線描画は 朧となっていく形を繋ぐ 流されて消えゆく記憶を 時の流れと諦めるなんて 出来はしない 出来るはずない 今なお鮮明なままだから 空っぽの砂時計 落ちた砂も消えて 私と君の速さが違う かき抱く思い出が 壊れないようにそっと蓋をしてしまう 心の底 思い出しては泣いてしまう 愛している痛みに
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加