boy's side

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boy's side

 この路線を使って下校するのも今日で最後だというのに、恐ろしいくらいに実感が湧かなかった。  それはたぶん隣を歩く君がいつも通りに隣にいるからで、制服の胸元に留まったリボンがいつも通りに揺れているからで、通過する急行列車が春と君の甘い香りをいつも通りに巻き上げるからで。  君の笑顔だけがいつも以上に眩しいからだ。
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