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「じゃあ、どっちがいいか俺が予知能力を使ってやる」
俺は目を深く閉じて数回深呼吸を行った。彼女も初めは半信半疑だったが俺のとてつもない集中力に圧巻され、次第に尊敬のまなざしで俺を見ていた。
「ん~ん 」
「ど、どうでしょうか? 」
「残念だが、君の将来は真っ暗で何も見えない。まあ俺から言わせると、数年後に男に捨てられて惨めな人生を送る。野球で例えると人生コールド負けだ」
バシャー
「ぎゃああ! アチチチチ 」
彼女はテーブルに置いてあったコーヒーを俺の顔面にかけると、勢いよく扉を開けて出て行ってしまった。
「ぎゃああ本当に真っ暗だ! 」
こんなちんけな事で怒るなよと思ったが、帰るときの地面を踏む足音からビリビリと怒りを感じることはできたし結局金も貰えずタダ働きだ……
俺が両手を前に突き出しながら大声で部屋を駆けずり回っていると……
「おい武、何馬鹿な事やっているんだ? 」
「その声は 赤井か? 」
俺は赤井からタオルを渡されると急いで目元を拭いた。視界の先には黒のスーツ姿で長い髪の毛をバッチリセットしているホスト風の男性がケラケラと笑みを浮かべながら俺を見つめていた。
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