2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
れいこちゃんと店を閉めてから、
れいこちゃんの家までゆっくりと歩く。
喫茶店から、れいこちゃんの家までは
一駅ほど離れた距離だ。
夕方のむわっとした、それでいて
少し涼しく感じる風を受けながら
夜の気配に包まれる。
2人の歩くスピードはどこまでも
どこまでもゆっくりで
2人の影が長く伸びるのを
じっくりと見ながら
一歩また一歩とビートを刻む。
会話は敢えてせず、俺たちは
鼻歌を歌いながら
くすくす笑い合って歩く。
れいこちゃんの鼻歌は、
和田アキ子の 笑って許して のチョイスだ。
笑って許して の歌い出しに
俺が、れいこ!と合いの手を入れて
俺たち2人はキラキラとした無邪気な笑顔で
目を見合わせて笑い合った。
そんな夏の夕方の一日は、今では闇に包まれ
夜が始まろうとしている。
最初のコメントを投稿しよう!