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双海-3
「ん…ッ」
舌を絡めながらお互いに求めあう。タチ同士の二人。初めこそジャンケンで負けた双海がネコになっていたが回を重ねてもそのままになっていた。
首筋から耳朶、身体を這う松浦の舌。双海がだんだんと甘い声を出し始めた。いつだって松浦は優しく双海に触れる。
後ろをほぐされながら聞こえる音。
「ん…っ、はっ…」
今の快楽とこれからくるであろう快楽を思いながら双海は松浦を見つめた。
「好きだよ」
松浦の囁きにゾクッとしながら双海はその身体に抱きついた。
「僕…もっ…」
笑っておどけて見せる松浦も、汗を落としながら動く松浦も、優しくキスをする松浦も
(全部、僕だけのものだ)
充分に慣らしたソコは松浦を受け入れる。ゆっくりだった腰の動きも、松浦の余裕がなくなってきてどんどん双海の身体を突いてきた。
「あ、あッ、はぁっ…きもち、い…」
「も、そろそろ…っ」
「も一回、して、くれるなら…っ、イッていい、よ…」
悪戯っ子のような双海の顔。
「じゃ…まずは一回、な…っ!」
「あ、ああっ…!」
松浦は微笑んで、双海の中で果てた。
それから。
ふと目覚めると横で松浦が眠っていた。
少し汗でしっとりした黒髪に触れながら、双海は松浦を見つめる。髪に触れられた松浦は、不意に微笑む。
(可愛いなあ)
カーテンの隙間から入る光に導かれて、外を見ると朝焼けで見事に真っ赤になっている。
今日も一日、快晴になりそうだ。
こんな満たされた気持ちなら、一緒に住む日まで何の不安もなく過ごせそうだ。明日からも幸せな気持ちで過ごせられる。
松浦が褒めてくれた最高の運転を続けながら、バスの街を走るのだ。
【了】
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