違い

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

違い

「フレアボールッ」 ―――― 「フレアボール、フレアボール、フレアボーーール!」 ――――  修行が始まり、半年が経った―――― 「違うわリン! もっと頭で炎を想像するのじゃ」 「は、はい!」  少しは成長するかと思っていたが、私の魔法は始めた頃から全く進歩していなかった。 「フレア……ゴホゴホッ」  毎日呪文を叫びすぎたのか、声が出せない。 「リン……やはりスライムには無理じゃ」 「フ……レア……」 「もうやめぃ!」  無理やり声を絞り出そうとする私に、エド爺が駆け寄り、私を抱き上げた。 「でも、私……魔法」 「じゃから無理なんじゃよ、スライム……には……」  私の体を包むエド爺の手が震えている。フードの中から光るものが見えた。  悔しい……  なんで私はスライムなんかに生まれたのだろう、エド爺みたいに大魔道士だったら、怪力のゴーレムだったらこんな気持ちにならなくてよかったのに、こんな簡単な魔法も使えない、何の役にもたてない最弱のスライムなんか……  目の奥が熱くなって、気がつけば涙が溢れていた――――
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!