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違い
「フレアボールッ」
――――
「フレアボール、フレアボール、フレアボーーール!」
――――
修行が始まり、半年が経った――――
「違うわリン! もっと頭で炎を想像するのじゃ」
「は、はい!」
少しは成長するかと思っていたが、私の魔法は始めた頃から全く進歩していなかった。
「フレア……ゴホゴホッ」
毎日呪文を叫びすぎたのか、声が出せない。
「リン……やはりスライムには無理じゃ」
「フ……レア……」
「もうやめぃ!」
無理やり声を絞り出そうとする私に、エド爺が駆け寄り、私を抱き上げた。
「でも、私……魔法」
「じゃから無理なんじゃよ、スライム……には……」
私の体を包むエド爺の手が震えている。フードの中から光るものが見えた。
悔しい……
なんで私はスライムなんかに生まれたのだろう、エド爺みたいに大魔道士だったら、怪力のゴーレムだったらこんな気持ちにならなくてよかったのに、こんな簡単な魔法も使えない、何の役にもたてない最弱のスライムなんか……
目の奥が熱くなって、気がつけば涙が溢れていた――――
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