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修行のはじまり
翌日、私はエド爺の所に来ていた。エド爺は相変わらず腰が曲がり、自慢の茶色いローブを引きずっていた。
「ねえ、エド爺」
「なんじゃ?」
「私に魔法を教えてよ」
「な、なんと!」
フードを深く被り薄暗い中の目が大きく見開いた。
こんな生活、命がいくらあっても足りない、それに魔王様復活の際にはそのお力になれるかもしれない、いや、なれるはず……
だが、エド爺さんは肩を落としてため息をついた。
「リンや、スライム族はもともと魔法を使うことはできんのじゃ」
「そこをなんとか、自分の身は自分で守らなきゃ、それにやられた仲間の仇をとれ、天国の魔王様もきっとそう言われると思うの」
「じゃがな、リン……」
「私、何でもする、頑張るから、教えてお願い。エド爺だって昔は魔王様をお守りする大魔道士だったって、知ってるんだから、教えてくれるまで、私帰らないから!」
「リン……」
エド爺は横にある岩に手を差し伸ばし、真剣な表情になった。
「フレアボール……」
エド爺が唱えると、小さな火の玉が手のひらに現れ、真っ直ぐ岩に向かい飛んでいく。ボンッと、音を立てて岩が割れ、周りの草が燃えていた。
「修行は厳しいぞ、できるか?」
「はいっ!」
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