浅き夢見し頃に囚われて

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 コンビニで適当におにぎりや菓子パン、それにビールやチューハイを適当に買って向かったのはラブホテル。奇しくも、いやわざとなのか、の日と同じホテルだった。運よく空室があったから、そのまま入る。  コンビニの袋は倉光さんが持ってくれていたのだけれど、ごとりとテーブルに置くと私の手から鞄を奪いベッドに放った。そのまま、抱き寄せられてキスをされる。そのまま、衝動に任せて熱を分け合った。 「お腹すいたー、達己は何食べる?」 「おにぎり。ツナマヨは俺のモノな。」 「大丈夫、ツナマヨは2つ買ってあるよ。」  情事が終わってしまう頃には、私はすっかり倉光さんを下の名前で呼び遠慮が無くなった。職場の先輩なのにいいのだろうか、とは思わなくないがあまり関わりがないし気をつければ大丈夫ということで無理やり納得した。  素っ裸なのはいかがなものかと思って、素肌に黄色いブラウスだけ羽織りパンツを穿いておにぎりを頬張る。ツナマヨの1個は死守した。達己もツナマヨが好きらしく、ボクサーパンツに青いチェックのシャツを羽織ってもう1つのツナマヨを食べていた。 「今日は急に呼びだして悪かった。」 「んーん、家でのんびりしていただけだから大丈夫。」 「確か1人暮らしだっけ?」 「うん、本社の最寄りから3駅隣のとこ借りてる。」 「あの駅か、俺たぶんその隣駅だ。」  遊びに来る?なんて冗談めかして言えば、いいの?と返される。もう隅から隅まで見られているし、職場の先輩という事で身元もはっきりしているので困ることはない。とはいえ、流石に距離感近すぎだよなー、なんて思いながらおにぎりのフィルムをぐしゃぐしゃに丸めて、菓子パンに手を伸ばした。 「なんで俺が好きなモノばっかり食べるの……。」 「え、クロワッサン好きなの?じゃああげる、カレーパン食べよ。」 「クロワッサン好きで悪いか、そもそもクロワッサン選んだのは俺だろうが。」  何やら菓子パンのチョイスにやいのやいの言われたが、気にせずカレーパンを頬張る。クロワッサンが好きなのか、となんだかクロワッサンがゲシュタルト崩壊しそうな勢いだが、ふーんと気のない返事をしてカレーパンに舌鼓みを打った。  達己と居るのは楽しい。なんというか、もっと普通に出会いたかったな。こんなセフレみたいな関係じゃなく、友達として。
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