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校舎から体育館へ向かう渡り廊下を、風に乗ったピンクの花びらが通り抜ける。
桜満開の今日、私は高校生になった。
先月の今ごろは、中学校の卒業式であんなに大泣きしていたのに、今は晴れやかな気持ちでこの日を迎えた。
ここは、世界的に有名な観光地がすぐ近くにある、嵐明高等学校。
この高校を選んだ理由は、家から自転車で通える距離にあること。
そして、政令都市の権限で、この一体が環境保全区域になっていて、ほどよく田舎な場所にあって夏前には蛍がほのかな光を灯してくれる。
冬にはささやかながらも雪が降る。
でも、盆地だけあって、冬の底冷えは厳しい。
私の名前は楓原凛子。
私の高校生の生活は、ここから始まった。
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