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入学式の後、二階の中廊下を渡った先にあったのが1年3組。これから私のクラスになる教室だ。
教室に入ってすぐに、懐かしい顔があった。
「リンコ!」
そう言って私に声をかけてくれたのは、橘 優花だった。
彼女とは、保育園の時からの親友だ。
身長が高く華奢な体格なのに、目鼻立ちはスッキリしていて胸は大きい。長い髪をいつもポニーテールにしている。
制服はもちろん私と同じ、白シャツに紺色ブレザー。首もとには赤いリボンを着け、スカートは箱形で、赤と青のタータンチェックだ。
でも、なんだろう・・
この差は・・
優花のブレザーの胸元の膨らみ。
ブレザーの隙間に見える白シャツと、その上の赤いリボン。
箱形スカートから伸びる長い下腿を、ハイソックスで覆っている。
それだけなのに、なんと言う差なのだ。
対する私は、背も小さく、ブレザーの胸元の膨らみも細やかなものだ。
それに、髪型はショートボブなので、ユウカとは対称的だ。
ユウカの体型はものすごく憧れる。
・・でも、ユウカの性格は・・。
「リンコ、また同じ学校で、また同じクラスなんて、もうこれは運命じゃない?」
そう言って、高校生活初日なのに、周りを気にせず私にハグをしてくる。
「リンコ、もう離さないよ。」
そう言って両腕で私を抱え込む。
私の視界は、ユウカの胸部に押し当てられて何も見えないが、クラス一同が私たちを見ている・・視線を感じる。
そう、私の親友の橘優花は、これさえなければ男子にもとてもモテるのに、人目を憚らずに私限定で恋愛ごっこを楽しむ。
「もう!!
やめてよ!!」
と、ちょっと怒り気味に言ったんだけど・・
「もう、リンコは相変わらず可愛いね。」
とヘラヘラと笑う。
ユウカの言う『可愛い』は、若干小動物に対するそれに聞こえなくもない。
私は背が低いのを気にしているのに、ユウカはそんなことお構いなしだ。
ユウカの美人な所には憧れるけど、こういう性格はちょっとどうかと思う・・。
なんだか、周りの視線がすごく気になる。
そんなことお構いなしに、ユウカは続ける。
「だってさ、私たち、誕生日も近いしさ。」
・・確かにそうだ。
私は2月16日生まれ。
ユウカは2月7日生まれ。
なのに、こんなにも身体的な差があるのは何故なのだろうか。
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