第1話

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 入学式の後、二階の中廊下を渡った先にあったのが1年3組。これから私のクラスになる教室だ。 教室に入ってすぐに、懐かしい顔があった。 「リンコ!」 そう言って私に声をかけてくれたのは、(タチバナ) 優花(ユウカ)だった。 彼女とは、保育園の時からの親友だ。 身長が高く華奢な体格なのに、目鼻立ちはスッキリしていて胸は大きい。長い髪をいつもポニーテールにしている。 制服はもちろん私と同じ、白シャツに紺色ブレザー。首もとには赤いリボンを着け、スカートは箱形で、赤と青のタータンチェックだ。 でも、なんだろう・・ この差は・・ 優花(ユウカ)のブレザーの胸元の膨らみ。 ブレザーの隙間に見える白シャツと、その上の赤いリボン。 箱形スカートから伸びる長い下腿を、ハイソックスで覆っている。 それだけなのに、なんと言う差なのだ。 対する私は、背も小さく、ブレザーの胸元の膨らみも細やかなものだ。 それに、髪型はショートボブなので、ユウカとは対称的だ。 ユウカの体型はものすごく憧れる。 ・・でも、ユウカの性格は・・。 「リンコ、また同じ学校で、また同じクラスなんて、もうこれは運命じゃない?」 そう言って、高校生活初日なのに、周りを気にせず私にハグをしてくる。 「リンコ、もう離さないよ。」 そう言って両腕で私を抱え込む。 私の視界は、ユウカの胸部に押し当てられて何も見えないが、クラス一同が私たちを見ている・・視線を感じる。 そう、私の親友の(タチバナ)優花(ユウカ)は、これさえなければ男子にもとてもモテるのに、人目を憚らずに私限定で恋愛ごっこを楽しむ。 「もう!! やめてよ!!」 と、ちょっと怒り気味に言ったんだけど・・ 「もう、リンコは相変わらず可愛いね。」 とヘラヘラと笑う。 ユウカの言う『可愛い』は、若干小動物に対するそれに聞こえなくもない。 私は背が低いのを気にしているのに、ユウカはそんなことお構いなしだ。 ユウカの美人な所には憧れるけど、こういう性格はちょっとどうかと思う・・。 なんだか、周りの視線がすごく気になる。 そんなことお構いなしに、ユウカは続ける。 「だってさ、私たち、誕生日も近いしさ。」 ・・確かにそうだ。 私は2月16日生まれ。 ユウカは2月7日生まれ。 なのに、こんなにも身体的な差があるのは何故なのだろうか。
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