第1話

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 少し遅れて教室に入ってきた担任の先生が、教壇に立って、私たちに挨拶をする。 「みなさん、今日からよろしくお願いします。 私は、皆さんの担任をする有栖川(アリスガワ)姫乃(ヒメノ)です。」 そう言って、手に持ったチョークで黒板に自分の名前を書いていた。 その間、男子生徒達の 『すげぇかわいいじゃん。』 『めちゃスタイルいいじゃん。』 『カレシいるのかな?』 『アリスガワって、不思議の国のアリスガワなんじゃないの?』 『いやいや、地名のアリスガワなんじゃないの?』 『かわいいのレベルを超えたかわいさな。』 と、聞こえるレベルの小声で囃し立てる。 ・・黒板から振り向いたアリスガワ先生は、男子生徒のその言葉に、コホンと咳払いをしてから、 「男子生徒のキミたち、私が可愛いのは認める。 それは当たり前なのだ。 だって、私は可愛くてスタイル抜群だから。 参考までに、私の卒業した教育大学では、私は三期に及んでミスユニバーシティだったのだから。 でも、キミたちのそれはセクシャルハラスメントにあたる。 そして、仮にも私は教師でキミ達は生徒だ。 私が訴えれば、キミたちは登校初日にして退学と言う憂き目に遭うことになる。 今後、その様な発言を慎むか、それとももう学校に登校しないか、どちらかを選びたまえ。」 そう言われた、男子生徒達は、言葉を失い、バツの悪そうな顔をしていた。 見た目と反して、そのトゲトゲしい発言にはかなり驚いていたんだけど・・ ・・だがしかし、右斜め横の席のユウカの視線が、何故かうっとりしているのが見える。 ・・ユウカ、キミはキミが可愛いと認めるオンナなら誰でも良いのか・・。 アリスガワ先生・・ 男子生徒だけではなく、一部の女子生徒にもそれ言った方が良いんじゃないでしょうか・・。
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