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「いや、だからね・・。」
そう言って私の思いをユウカに伝えた、
あれは、よく見かける、あるイベントでの事だった。
そのイベントではほぼ固定で、演奏するメンバーがいる。
フルート、クラリネット、オーボエ、ホルン、トランペット、電子ピアノ、声楽等々。
毎回メンバーが増えたり減ったりしているが、フルートと声楽はほぼ固定メンバーだ。
私はあのアンサンブルが大好きだ。
あの日、そのアンサンブルグループはフルート以外のメンバー全員が体調を崩して、その時はたった独りでフルートを演奏をしていた。
伴奏もなしに、トークを交えて独りで40分の持ち時間をこなしていた。
音はフルート一本だ。
それなのに、彼のその場の雰囲気に飲み込まれた。
独りで超絶技巧まで披露していた。
すごいと思った。
ピンでフルートでも出来るし、いつもはアンサンブルも出来る。
各種イベントにも参加するし、ボランティアにも参加する・・。
なんと言うプロ根性。
あんなふうに何があっても、人前で堂々と立派に演奏出来るようになりたい。
・・・・・・
「そっか、それ、楽しそうね。」
そう言って、私の肩に手を回すユウカは、この話しに乗り気のようだ。
「もちろん、そのメンバーの中には私もいるよね」
私は、「もちろんだよ。」と言って頷く。
「でも、あれだね。リンコがそんなにすごいって言う人は、どんな人なの?」
「ん?
あぁ、男の人だけど、年は私たちとそんなに変わんないかなぁ?
どちらかって言うと、華奢でオンナ顔だったよ?」
「・・へぇ、なんか妬けるな~」
そう言って、ほっぺたを膨らませるユウカ。
その仕草もかわいい。
でも、もしこれが性別を超えた愛に発展すると考えた場合、ユウカの様に美人とみれば誰彼なしに惚れる浮気性のオンナはイヤだ。
・・ユウカとはこれからも『親友』と言う括りが一番良い。
「まぁ、その男の事は置いといて。
うん。それ、面白いかも。
よし、プランは私に任せて!」
そう言う所は、本当に頼もしい。
私は、夢を心に描くだけで、こんなに現実的に考えるまでの行動力はない。
ユウカのこういう所は大好きだ。
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