第1話

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 翌朝、1年3組の教室に入ると、私よりも先に登校していたユウカは、机ににかじりつき、なにやらぶつぶつと言いながらノートに何かを書きなぐっていた。 「おはようユウカ。 朝早くからどうしたの?」 「あぁ、おはようリンコ。 今後のプランを早速考えてたんだよね。」 そう言って、広げたノートには、 1・顧問の先生を勧誘する。 2・活動範囲を模索する。 3・メンバーを勧誘する。 4・練習時間を確保する。 と、書かれていた。 「さ・ら・に!!」 そう言って、次のページを捲った所には、可愛くデコった字で、 『スウィート・メイプル・ムジク』 と書いてあった。 「これ、グループ名ね。」 「スウィート・メイプル・ムジク?」 ユウカはさすがだ。 もうここまで考えてくれていたのか。 ・・しかし、この名前・・ スウィート=甘い≒優しい=優花の優 メイプル=楓=楓原の楓 それに音楽のドイツ語読みのムジク。 なのだろう・・。 ・・結構良い響きだ。 口にしてみると、ちょっと恥ずかしいけど、意外としっくりくる。 「これ、結構いいネーミングだね。」 そう言うと、 「でしょ?」 と言って、ユウカは満面の笑みを見せてくれた。
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