49:大混乱

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 ピクシーの足元にはガリイと二人の兵士が倒れ、血の海を作り出していた。 「あんたは……死んだはずだろ?」  ハナコの額に、一筋の汗が流れた。  ――ありえない。 『言ったはずだ。、と』 「なぜだ! なぜ、お前がここにいる!」  ヒサトが悲鳴にも似た大声を上げる。 『……久しぶりだな、ヒサト』 「ピクシーは、とっくに〈活動限界〉を過ぎているはずだ」 『〈活動限界〉を突破したんだよ、ワシは』 「あり得ない。それを引き伸ばすことなどできんと、お前自身が結論を出したはずだ、シロー」 『そう。その通りだ。だがお前たちに裏切られ研究所を放逐されてからも、ずっと、ずっと、ワシは人目を忍んでピクシーを研究しつづけていたんだよ、九番街でな」 「貴様、九番街に潜伏していたのか」 『あの街はなにかと都合がいい。金次第でなんでも手に入るからな。おかげでピクシーの最大の問題点である〈活動限界〉を突破することができた』 「信じられん。一体、どうやって……?」  絶句するヒサトの眼前で、ピクシーは右手に握るナイフの柄で自らの頭をコツコツと叩いた。 『。それがワシが出した結論だ』 「頭部だけを変える、だと?」 『そうだ。完成された胴体部はいくらでも使いまわしが効く。頭部のストックさえあれば、ピクシーの〈活動限界〉はいくらでも伸ばせるんだよ』 「貴様……まさか、アリスの頭部を狙ってるのか?」 『そうだ。最強の肉体と最強の頭部が揃えば、ピクシーは更なる高みに至る』 「イカレてる……」  思わず漏れたハナコの言葉を鼻で笑い、 『なんとでも言え。さあ、分かったなら、そこをどけ』  と、シローが言った。 「どくわけねえだろ」 『……残念だ。お前は殺したくないんだがな』  言って、ピクシーが戦闘態勢に入った。  構えるハナコの横に、マクブライトとトキオが無言のまま並ぶ。 『やれやれ、お前らでは勝てないのは百も承知だろうに』  確かに勝てる気はしない。だが、やるしかない。
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