49:大混乱

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 先に動いたのは、ピクシーだった。  ガード越しにピクシーの拳を喰らったマクブライトの体が瓦礫まで吹き飛ばされ、崩れた瓦礫の底に埋まる。 「うわあああ!」  情けない声を上げながらも、トキオがピクシーに殴りかかった。ピクシーは避けるそぶりすら見せずにトキオの拳を胸で受けた。当たり前だが、なんのダメージも受けていないようだった。 「うう、くそお……」  無力に喘ぐトキオの首を左手で掴み、軽々と持ち上げるピクシー。その足を目がけてハナコは水面蹴りを繰り出した。 『……無駄だと言っただろう』  まるでビクともしないピクシーがあきれ声で言って、ハナコを目がけて右手を振り上げた。  と、その時、風切り音とともにピクシーの左腕を矢が貫き、緩んだ手からトキオが滑り落ちた。 「やった! 当たったぞ、父ちゃん!」  矢の飛んできた方、瓦礫の上にはコブシ一家の姿があった。 「ハッハッハ、よくやった」  言って、トラマツが瓦礫から飛び降りてピクシーに対峙する。 「くそ、次から次へと、なんなんだよ、一体」  ハナコの悪態に、 「ウチの弟の鼻から逃げられると思った?」  と、同じく瓦礫から飛び降りてきたリンが笑う。 「この黒ずくめとあっちの軍人を殺っちまえば、あのアリスとかいうガキはおれたちのものだ。気を抜くなよ、リン」 「分かってるわよ、パパ」 『コブシ一家か……相変わらず、鬱陶しい奴らだ』 「ああん? なんでおれのことを知っていやがる?」  訝しむトラマツに、 「父ちゃん、よくわからねえが、そいつからガンズのジジイの臭いがするぜ」  と、ゴエモンが言った。 「ガンズ・トヤマ……? あんた、ガンズだったのか」  驚くハナコに、 『今さら知ったところでどうなる?』  と言い放ち、シロー・メンゲレ――ガンズ・トヤマは嗤った。
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