7:二組の侵入者

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「ピクシー? そう名乗ったのか?」 「ムゲンのおっさんがね、死ぬ前にそう言ってたんだ。口ぶりじゃ、どうやら知ってるヤツみたいだった」 「ふむ、ピクシー、か。いよいよ怪談じみてきたな。、の話だが」 「まさか、あたしたちを疑う気?」 「いや、お前たちはおれに嘘はつかんさ、そう仕込んできたからな。だが、あいにくと監視カメラの故障で、ピクシーとかいうバケモノの存在を証明する物的証拠がどこにもない。つまり、目下のところ、お前らが最有力の容疑者だということだ。それに政府軍だけならまだしも、ムゲンを殺されたことで、民警も躍起(やっき)になってお前らを追っているという情報もある。つまりだ、ほとぼりが冷めるまでのあいだ、お前たちにはここにいてもらうことになる」 「ちょっと待ってよ。じゃあ、あのコもここにずっといさせるわけ? 依頼は引き受けたんでしょ?」 「はじめから言っているが、あの娘は双子に護送させる」  立ち上がるハナコ。 「なんだ?」  ドンの眼を見据えて、ハナコは言った―― 「その依頼、にやらせてよ」  ――トキオが驚き、口を金魚のようにパクパクとさせる。 「……あの娘に同情でもしたのか? お前らしくもない」 「そうじゃない。あたしの目的は、報酬の一億だよ」  その言葉に、鼻から先ほどよりも大きな息を漏らすドン。 「……なるほど。たしかに一億が入れば、その取り分の三割で、お前らの借金は完済できるな」 「完済できるどころかお釣りが来るだろ。それであたしはこの街を離れるつもり」 「正気か?」 「正気だよ。、ここにはもうウンザリしてるんだよ」 「ふむ……」  うなずき、考え込むように顎髭(あごひげ)をさするドン。 「少し考えさせてくれ。明日、答えを出す」  その言葉に、トキオが諦めたようにため息を漏らした。
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