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遊園地でマスコットが渡している色取り取りの風船。
私に渡されたのは赤い風船だった。
嬉しそうに受けとる私の姿を数十年後の私が見ている。
この後私はあの赤い風船を手放してしまう。
飛んでいった赤い風船は今はどこにいるんだろう。
そんなことをふと思って空へと手を伸ばす。しかし、その手は黒い手に捕まれた。
「時間だ」
そう言って引かれる私の目の前には泣いている小さい私。ああ、あの日に戻りたいと私は静かに思った。
無邪気に笑っていたあの頃に。
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