綺麗な雨

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綺麗な雨

このところ雨が続いている。汚い雨だ。 皆は普通って言うけど僕はどうしてもそう思えないんだ。何で僕だけ雨を汚いと思うのか 分からない、でも僕が雨を汚いと思うように なったのは多分あの時からだ。 あの人と会ってからだ。 「おーい・・・聞いてるのか?」 中野が何か言ってる、何だ? 「お前人の話はちゃんと聞けよ」 中野はそう言うとまた何か話始めた。 けれど中野の話は僕の耳には届いていなかった。それだけ僕はあることに夢中だった。 「まだ探してんのか?あの人を」 僕は頷いた。 「もう諦めたらどうだ?絶対何かの間違いだって 裸の女性がお前の事好きって」 いや、あれは絶対間違いじゃない! それにあんなに素敵で雨が似合う女性はいない! 「雨が似合うってお前雨嫌いじゃん。いつも雨降ったら汚いって言うじゃん。(笑)」 いつも雨は汚いよ。だけどあの時の雨は綺麗だったんだ。 中野は呆れた様に鼻で笑った。そしてまた何か話し始めた。 またあの人に会いたい、会って話しがしたい! でもあの時から一度も会えない。 今思うと凄く変な女性だった、変な女性だったけど凄く綺麗で不思議で雨がとても似合う女性だった。 「そんなに会いたいならまたあの公園に行けば良いじゃん。なんなら今から行けば、どうせ次の授業道徳だし(笑)」 そうだな、そうしよう。行ってくるよ、俺。 あの公園に。 そう言って僕は立ち上がり教室を出た。 「え、冗談だったんだけど。」 僕は雨の中走った。この汚い雨の中を。
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