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音をたてずにドアを開ける。
想像していた声は聞こえなかったが、話し声は聞こえた。
「あなたは誰ですか?」
「二宮亘」
正気に戻っているのか?
先生に報告したら興味を示すだろうけどタダで情報をくれてやる義理はない。
「誰なの?あなたは」
「みの‥みや、わた‥‥る」
「まだ不安だな」
ベッドルームを覗くとやっぱり二人は絡み合っていた。
わざと大きな音をたてて部屋に入っていく。
「どうした佑」
「っこの、裏切り者!」
「は?」
「‥ああん!」
急に体位を変えたせいで二宮が嬌声をあげた。
「やっぱりいいオモチャだな!」
かなり激高している神山を前に、香川は平然としていた。
「ここまで暗示がとけてきたんだから邪魔するなよ」
「そんなのご褒美欲しさに何でもするさ!」
振り向いている姿勢がつらくなったか香川は一度抜く。二宮は「…ぁん」と小さな声を出した。
「元はと言えばお前たちのせいだろう」
香川は裸のままベッドに座って、神山は立ったまま。
「こんな危ないモノ取り扱って。俺がどれだけもみ消してるかわかってるか?お前は俺に文句言える立場じゃないんだよ」
「それとこれは別だ」
「同じだよ、佑」
脱ぎ捨てた部屋着を着直して、神山を押し出して部屋を出た。
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