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ぽつんと置かれた机しかない部屋。
山のように積み上げられた薬品漬けの紙を医療用手袋をはめた先生がひたすら封筒に入れている。
「手作業なんですか。地味なことで」
勝手に部屋に入ってきて香川が先生に声をかける。
「そう思うなら手伝ってくれない?」
「いいですよ、暇だし」
宛名を書いている先生は香川を見ていない。
「1人用のデスクでどうやって手伝うんですか」
香川は自然に近づいて紙の山をつかんだ。
「おい、素手でさわる…っ」
握った紙を先生の口に詰め込んだ。
一瞬で体内をかけめぐったようで先生はすぐ動かなくなって床に崩れ落ちる。
「先生はすぐ死ぬタイプか」
商品の観察記録であるノートに火をつけて香川は部屋を後にした。
自分たちが遊ぶお気に入りのオモチャはベッドに転がして、売りさばく人間は例の悪趣味な青いソファで神山の手下に調教されている。
そしてもう1人、俺に返品されたニノミヤワタルは出荷準備されていた。
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