商談

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商談

青いソファの上では二人調教されている。 「けっこう生き残るもんだな」 泣き声にも似た本能が吐き出す声が聞こえる。はじめは抵抗してもだんだん弱々しくなって、最後は快楽を求めるようになっていく。 あとはゆらゆらと体を揺らされて蕩けた顔になる人形になって完成。 「仕入れをお願いしちゃってすいません」 主犯の神山がスーツを着て誰かと話している。 「金になるなら何でもいいよ。どうせあいつは悪趣味な人体実験してるんだろ?」 「あれ?」 ベッドに放置されている俺に気がついた誰かがこちらに近づいてきた。 「二宮…さん?」 俺は呆けたまま思い出そうとするが、何もわからない。 「ああ、そういえば同僚でしたね香川さんの」 「何でこうなってるんだ?説明しろよ」 遠くで言い争いが聞こえる。 しばらくすると乱暴に担がれて勢いよくシャワーを浴びせられた。さすがにむせて咳き込む。 「どうしてこんな…。一体なにをされたんですか」 俺はぼんやりと彼を見る。 誰だっけ…。 「おれ‥は、オモチャ」 とりあえず何か質問されると条件反射でそう言う感覚になっていた。 「使われたのはシリーですか?」 頭からかかるお湯が気持ちいい。 「オモチャ…、おれ‥は…」 「あなたの名前は二宮亘です!何言ってるんですか!」 「そいつは売りませんよ。俺たちのお気に入りですから」 「あ?だったらすぐ逮捕するぞ。さっさと服持ってこい」 神山は、えーどこやっちゃったかなあと言いながらベッド付近を探し始める。 少し伸びてしまった髪をガシガシ拭いて水気を取ってもらっていると神山が服を持ってきた。 「洗濯してないけど、はい」 香川と呼ばれた男は無言で受け取って俺に丁寧に着せていく。 「先生の実験台はニノミヤワタルさんですよ、残念ですけど」 噂をすれば何とかで、先生と呼ばれる白衣の男が部屋から出てきた。
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