商談

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「実験ってなんですか」 立ち上がれない俺を座らせたまま香川は二人に詰め寄る。 「人格の破壊と再生みたいな感じですかね」 「そんなもの過去にいくつも症例あるだろ。何をいまさら」 「自分でやりたかったんです、自分で」 苛ついた顔で青いソファの商品を見て 「あいつらは売る。二宮さんは返してもらうぞ」 その言葉に神山が怪訝な顔をする。 「同情ですか?」 「俺にも良心くらいある」 「ついでに実験を続行してもらえませんか」 「なにが」 「今二宮さんは自分が誰かわかっていません。これから自我を取り戻させる。それをやってください」 「命令すんなヤブ医者」 やたら俺のことに執心するのが不快だったのか神山が口をはさんだ。 「随分この人をかばいますね。仕事仲間だからですか?」 「お前の次に大事な人かもな」 クルマまわしてきますと言って神山が外に出る。 「痴話喧嘩はほかでやってくれませんかねえ」 先生はめんどくさそうに呟いた。
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