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蜘蛛
ふわふわと連れて行かれて気がつけばダブルベットの上。
「こいつもうダメだわ」
悪趣味なブルーのソファでは小太りの中年男に誰かが犯されている。肩に乗せられた両足が力なくゆらゆら揺れてかすかな喘ぎ声を発していた。
俺はベッドの上で裸にされて二人の男に犯されているみたいだ。
頭が働かない。
「あ…ぁ‥、ん‥‥や‥ぁんっ」
「やだ、じゃない。気持ちいいって思え」
俺の股間にいる若い男が俺に言っている。
「気持ちいい…」
頭のほうにいる男は俺の乳首をずっと指で弄んでいた。
「おもしろいね、生き残りは」
誰のことを話しているんだろう。
何の話?
「やぁ…もう…だめっ、壊れる…‥」
「壊すためのクスリだったんだけど、アンタのようにたまに生き残る奴がいる。何でかな、先生」
「体質だろ」
ソファの男の様子を観察しながら『先生』と呼ばれた男が淡々と答えた。
「こっちは完全に頭が壊れたな。予想どおり」
「ぁ‥、あぁ‥‥もっど…くらさ…」
どこを見ているかわからない目で刺激だけ求めるようにそれしか言わない。口から唾液をたらして人形のように犯されている。
俺も似たようなものだ。
かすかに理性が残っているけれど。
「あっ…いい‥‥、もっと‥もっとぉ‥‥欲しい‥ん」
聞こえる俺の声。
「こいつが警察官だって笑えるな」
後ろを突いてくる男が俺を嘲笑した。
「そんな事もうおぼえていないさ」
何のこと?
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