後ろの理解者・ep3.5

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「まあいいわ。私の理想はね、ア◯ブレラのT-V◯RUSのようなカリスマウイルスなの。その真意も知らずにあなたは…Vクイーンをきら◯かおりみたいなイメージでまとめやがってこのツインテロリ属性侍女が」 「申し訳ございません。ただ、例えが逐一危険です。我等が如き零細王国など、偉い人に知れたら片手でひねり潰されること必至ですから。あと人物の例えが古くて臣民が置き去りです。せめて上原◯衣くらいに…」 「ふ、例えなど些末だわ。それより蔓延の状況はどうなのかしら」 「正直まだまだです。なかなかコロナさんやスペイン風邪様のようにはいきませんね」  新型コロナやスペイン風邪、天然痘のように人類に大ダメージを与えたウイルスは、彼らの世界では敬意とともに伝説化する。が… 「…コロナですって?」 「いけません女王様、コロナさんとお呼びください」 「何言ってんのよ。私、コロナは嫌いなのよ」 「ちょ、女王様やめ…やば…おい女王コラ」  女王は目を剥いて叫ぶ。 「コロナのばかやろーっ!とっととワクチン投与されろ、ヴァーーーカ‼︎」 「おおお、おやめください女王様!勢いは失せたとはいえ、コロナさんに目をつけられたら我等の如き零細王国など…」 「うるさい!てかさっきドサクサで何か言ったわね侍女A!零細が何よ、なら棒棒鶏でも持ってくるのね!」 ピシッ! 「あっ!」 ピシピシッ! 「あうっ!それは冷菜…あッ!」  諸奈女王の鞭捌きは、歴代女王の中でもトップクラスだ。 「じょ、女王様だから得物が鞭というのは、ベタすぎ…」 「おだまり侍女A。いい?私の前でコロナを称賛するのは許さないわ」 「なぜですか。たったの3ヶ月で世界中に蔓延して、巨大イベントを延期させたあのコロナさんですよ。私もリスペクトしております」 「おだまりというのに!」 ピシピシッ! 「ああッ!」 「いいこと?確かにコロナの『潜伏感染有、感染力極大、致死率並以下』という特性は、ウイルスが蔓延する上で一つの正解ではあるわね。同族とはいえタチが悪すぎだわ」 「はい。コロナさんの完成度は驚異的です」 「でもね。私が許せないのはね。そこじゃないの」 「はい…」
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