絵描きの男

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男は昔、絵描きになると言って、高校を辞めた。 男の友人は考え直すように何度も説得したが、男は高校を辞めた。 男は、高校を辞めて絵描きになった。 男の絵は売れなかった。若い男は家がなく、家族もいず、公園の小さなベンチで、男は毎日ひたすらに絵を描いていた。売れることのない絵を地べたに並べて年月を過ごした。 そんな男の絵を、通りすがりの一人の女が買った。 男はその女と恋に落ちた。その女は妻となった。 元気な子供が六人生まれた。 男は家族八人で、小さな小さな木造の家に住んでいた。 とても貧しい生活だった。 家族の夕ご飯は庭で取れたジャガイモと、ネギの味噌汁と、ふりかけのかかっていない白ご飯を一口だった。男は夕ご飯を食べるとき、子供たちや妻と一緒に話した。 子供たちはいつも、夕ご飯でハンバーグを食べてみたいと言った。 妻はいつも、テレビが買いたいと言った。 男はいつも、大きな家に住みたいと言った。 そしていつも、貧乏だから仕方がないかと言って、家族みんなで笑った。 男も笑った。 でも男は、金が欲しかった。
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