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「お待たせいたしました、本日のおすすめ紅茶とサラダのサンドイッチでございます」
「マスター、今日の紅茶はなに?」
「本日は、王道であるダージリンティーでございます」
「そうなの、ありがとう」
「はい、それでは私はこれで」
そう言ってマスターは、カウンターへ戻って行った。
ここの紅茶は、ただのダージリンティーではなくオリジナルブレンドしたダージリンティー。
なので、ここでしか味わえない。
しかも、マスターのブレンドはかなり独特で紅茶が苦手という人でも虜にしてしまう程美味しい。
「実は明日香って紅茶苦手なんだよね」
「そうなの? でも大丈夫! マスターの入れてくれる紅茶は明日香ちゃんでも飲めるから絶対、騙されたと思って飲んでみてよ!」
恐る恐るカップに口を附け少し飲む。
それを見ながら、私はサンドイッチを1つ取り口に運ぶ。
明日香が一口飲み終えると、小さく流れるジャズの音の中にカップをソーサーに置く音が響く。
「ど、どう?」
恐る恐る明日香に聞くと彼女は「美味しい!」と言った。
透かさず私は「でしょ!」と言った。
そしてもう一口飲む、私も冷めない内に一口と言いたい所だけど私は猫舌で熱いものは苦手。
なので少し冷めてから飲むことが多い。
静かな時間が流れる、まるで時が止まったかのように思える程にゆったり流れる時間はまるで竜〇城にいる〇島〇郎を連想する。
そして、あっという間に時間が過ぎそろそろ帰る時間にまでなっていた。
ちなみに、サンドイッチを食べ終わったあとマスターのサービスで小さな苺のヨーグルトパフェを出してくれた。
勿論、紅茶のおかわりも付けてくれた。
「それじゃあ、マスターまた来ますね! あっでも暫くは来れないから、これちょっとばかりのお礼」
そういう言って私が渡したのは、手紙と分厚い封筒。
「中身は帰ってから見て下さいね!」
「畏まりました」
「ありがとうございます、行ってらっしゃいませ」
私と明日香は店を後にした。
「ねぇ優來ちゃん、お金払わなくて良いの?」
「何言ってるの? 入る時には払ってたよ?」
「えっ!? そうなの?!」
「うん?」
入店時にセンサーである程度のお客情報が、カウンターにあるマスターのコンピュータに表示される。
注文があれば自動的に表示され、帰る際に自動的に引き落としされる。
支払いは基本的に、ここの店の会員でないとそもそも来店が出来ない。
だけど連だったりした場合は、会員登録を済ませてある人が自動的に支払いをされる。
その為、普通の一般人が入れる様な喫茶店とは訳が違う。
「ちなみになんだけど、さっきの私達が頼んだのっていぬらなの?」
「えっ? 知りたいの? 知らない方が幸せだと思うけどな〜」
「それに、次回以降1人では明日香は入れないよ?」
「えっ? そうなの?」
「うん」
理解に苦しむ明日香を他所に私は駅まで明日香を送った。
「電車の中で調べてみたら良いよ、お店の名前は『喫茶 general』ね」
「うん、分かった! それじゃまたね優來ちゃん!」
「うん、バイバイ!」
そう言って明日香は改札に入っていった。
明日香が見えなくなるまで見送り「さて、かえりますか」そう呟いて私はジェットボードを付け家に帰った。
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