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西暦20××年3月29日、この日は春だと言うのに外では大雪になっていた。
この日、かなりショッキングな事件が報道された。
「とても衝撃的な事件をお知らせします、今日午後2時に都内在住の桜井さん一家が無差別に殺されているのが発見されました。桜井 敦也さん45歳、桜井 優さん40歳、桜井 穹くん10歳です。」
こんな報道は日常茶飯事だったのだか、あまりにも酷いとの事で取り上げられたとの事だった。
「あっ、ただ今入った速報です。押し入れの中から少女が発見されました。速報です速報です、少女が奇跡的に発見されました」
その少女こそ、当時5歳の桜井 優來だった。
少女は押し入れの中で恐怖しながら、目の前で家族を皆殺しにされたのだった。
当時の警察は、彼女を保護し警察総庁が管理する孤児院で生活する事となる。
当時の彼女は心を亡くしたかの様子で、他の孤児院の子達ともいる訳でもなく1人で教室の隅で体育座りをして周りを窺っていた。
そんな時、彼女の目がオッドアイになってる事に孤児院の委員長が気がついた。
その赤い瞳はまるで、未来でも見ているかの様なそんな感じを覚えるくらいだった。
それと同時に、当時の委員長は恐怖を覚えたという。
そして、孤児院に入って1年。
まるで人が変わったかのように、明るく可愛らしい女の子となっていた。
1年でここまで回復するとは思ってもいなかったのか、周りの子達も先生達も戸惑っていたが徐々に慣れていった。
そして孤児院に入って2年後には、優來は孤児院でも人気者になっていた。
そんなある日、優來は警察総庁に管理してもらっていたある物を受け取りに行った。
それは自宅の鍵である。
自宅まで警察官に送ってもらい、優來は2年ぶりに自宅に入った。
家の中は片付いていて、ある程度は元通りになっていた。
リビングを通り階段をあがり、皆で寝ていた寝室の扉を開けた。
中に入り当時隠れていた押し入れを開け、奥に隠れていた隠し扉を開く。
そこに置かれていた銀色のアタッシュケースを開くとそこには『サイレンサー付きのベレッタM1934』があった。
これは優來の愛銃……そして両親と兄の形見である。
銀色のアタッシュケースの中には他にも、予備のホルスターに弾、そして家族で撮った最後の写真だった。
「ただいま、お母さんお父さんお兄ちゃん」
そう言うと、大粒の涙が優來の綺麗な顔を濡らしたのだった。
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