6人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
西暦20××年4月1日、あの日から更に月日が経った。
優來は17歳になっていた。
高校2年生、世間一般で言ったら花の女子高生でもある。
「桜が綺麗」
長く続く桜道を1人歩きながら、そんな事を呟く。
傍から見たら美少女が1人寂しそうに歩いてるようにも見えるが、現代日本においては質の良いカモが歩いてるようにしか見えないのである。
昔であったら他の学生や通行人の目に止まる程だったのだが。
「ねぇねぇ彼女1人?」
高身長の柄の悪そうなお兄さん達が、優來の周囲を囲うように立ち塞がった。
声をかけてきたのはリーダーなのだろう、残り4人はお連れさんだろう。
優來にとって、日常茶飯事なのであまり相手にしたくはなかった。
と言うより、そんな気分でもなかった。
優來は、赤い瞳の能力である未来予知及び動作予知を即座に発動した。
この能力を自分の物にするまでに、かなりの鍛錬を積んだ……と言う訳でもなく気が付いたら身に付けていた。
「見ての通り1人ですよ」
「じゃあ、お兄さん達と楽しい事しようよ」
「またか」と思う程に毎度毎度、違うグループが日毎に来るものだから嫌気が差していた。
そろそろ我慢の限界でもあったけど、私は学園でも人気者でここで下手な事件を起こせば面倒が増えてしまう。
とか言うものの、上辺だけの優等生だから別にどうでも良いのだけど。
「遠慮しときますね、それに私って見かけによらず強いですよ?」
そんな事を言うと、私の周りにいたお兄さん達は全員大笑い。
大体の人達は私を見てか弱そうとか言うけど、初めだけで後はかなり距離を置かれてしまうのだけど。
「君さぁ面白いことを言うね、男5人を倒すのかな?」
「ん〜そしたら逃げます!」
私はそう言うと、勢い良くその場でジャンプをしリーダーの両肩に両手を付いてその場で前宙。
高々と舞う、それを唖然と見ている5人が空中で見えた。
着地後、私は制服のポケットから小型ジェットボードを取り出しローハーの裏に取り付け猛スピードでその場から離脱した。
余りの手際の良さと速さに呆気に取られた5人が呆然と立ち尽くしていたのは言うまでもない。
ちなみに現代日本において、新しく交通手段として数年前から実用化されているジェットボードはお手軽価格で販売されている。
形は様々だがカード型の2枚を両足の靴の裏に装着して使用する。
昔で言うところのローラーシューズみたいな物なのである。
ちなみに、私が使っているジェットボードの時速は40kmを超えるが、基本的にその人の肉体に合わせてオーダーメイドされているので時速はそれぞれ限界値が違うのである。
「あぁ学校予定より早く着いちゃった」
学園の正門の前に立つ、学園の名は『聖鳳凰女学園』略して鳳女。
最初のコメントを投稿しよう!