episode.1 学園

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 今日もいつも通り私の顔を覗き込んでくるけど、生憎私はカラーコンタクトをしているので覗き込むだけ無駄。  最近のカラーコンタクトは昔の物に比べると飛躍的に進化しているらしいと、この間テレビのCMで宣伝していた。 CMによれば、今までは色の着いたカラーコンタクトを付けていたそうなのだが今現在は無色のカラーコンタクトで付ける前にケースであるデバイスに色を入力するだけで、様々な色に出来るらしい。  鬼灯 茜はかなり残念そうな顔をしてその場から去っていった。 いつもなら、色々と言ってくるのだけど珍しくなんにも無かった。  まぁ正直な所、この2人はまだ可愛い方で1人だけかなり厄介なと言うか本当に私を嫌う人物がいる。 名前を雨宮 䴇(あまみや れい)。 雨宮は他の令嬢とは明らかに違う点がある、それは常に私に対して殺意を持った視線ということ。 ここまで殺意を持たれる理由が思い当たらない私としては、かなり厄介な存在であることに間違いない。 私に理由がないと言うことは、単純に考えて恐らく父と母に原因があるとしか思えないのだけど。  そんなこんなで3階にある私の教室に着いた。 ちなみに、この聖鳳凰女学園は広さにして旧東京ドームの2つ分の広さを有する。 現在、旧東京ドームは名前を変え森立ドームと言う名前に変わっている。 そして警備もかなりしっかりしたもので、登校時は必ず指定のパスカードでゲートを潜り所持品登録を行う為ゲート内にあるセキュリティセンターで登録を行う。 ちなみに空からは学園内を見ることは出来るのだけど、特殊なシールドが張られていて核ミサイルだろうがなんだろうが防いでしまう代物らしい。  なんならゲートも爆弾やそこいらのミサイル、何なら核ミサイルも防いでしまうらしい。 本当に作った人ヤバいなって思うくらい。 まぁこの建物を設計したのも鬼灯 茜の父親である鬼灯 透織(ほおつき とおり)。 ちなみに技術提供は国からで、現在の総各大臣である宮重 軍(みやしげ じん)。 この男はどうやら私の父とも縁があるらしく、建設の際に鬼灯 透織に声をかけていたという噂がある。 「ご機嫌よう」 「あっやっと来たー! 優來ってば、遅すぎだよ」 「ごめんなさい、遅くなってしまって」 「分かれば宜しい!」  そう言えば、朝挨拶してから急にどっかに居なくなるからどこに行ったかと思えば教室にいたのか。 この気軽に話しかけてくるのは、桜井 玲香(さくらい れいか)。 何の因果なのか、私の旧姓でもある。 小学校、中学校時代は『愼』と言う名字に慣れるまでかなりの時間がかかった。 「ねぇ優來、方課後なんだけどケーキ食べに行かない?」 「ごめんなさい、今日は用があるの」 「そうなの……残念」  そう今日だけは外せない用事、今日は私の海外留学の手続きの日。 本当は3年間この学園で学びたかったけど、父に「優來(お前)はここでこれ以上学ぶことは無いだろう」と言われてしまったから。 私は反論せず従った、それが最善であると認識していたから。 我ながらまるで人形だなって思う程に。 でも、心は既に私にはない……だからなんの感情も湧かないから平気なのだけど。 ちなみに、母も賛成している。
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