episode.1 学園

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 私は海外留学の手続きの為、午前中で早退し1人海外留学センターへ向かった。 今では、大体のことをこの海外留学センターで行うことが出来る。 昔はあっちでVISAを作ったり、あっちでパスポートを作ったりとかなり面倒だったらしい。 「3番でお待ちの愼 優來さん、愼 優來さん3番ゲートまでお願いします」  殆ど母が手続きをしていた為、私は海外留学に必要なパスカードを受け取りに来ただけ。 このパスカードには、向こうで証明したりする際に必要になってくる。 飛行機に乗る時もこのパスカードが必要になる。 言わば身分証と航空券みたいな物かな。 ちなみに行先は、ヨーロッパ……華やかな街ロンドンである。 昔からロンドンは華やかな街と言われているけど、現在に至ってもその華やかさは変わらないと言う。 「愼 優來さんですね」 「はい」 「これがパスカードになります、それからこちらが領収書となります」 「パスカードだけで大丈夫です」 「畏まりました」  私はパスカードを受け取り、学生証兼パスカードと一緒にカードケースに締まった。 ちなみに私の鞄の中身は銀色のアタッシュケースとカラーコンタクト用のデバイスとカードケース、それからデバイスがあるくらい。 学園に行く荷物ではない様に思えるけど、現代日本においてこれが普通なくらい。 「さてと、これからどうしようかな」  パスカードを受け取りが早かった為、帰るまでにかなりの時間が空いてしまった。 海外留学センターは混んでいると5時間は当たり前に待たされてしまい、下手をすると閉館時間となって翌日もう一度受け取りに行く羽目になってしまう。 ちなみに、入館時に身分証となるパスカードをタッチするとその場で待ち番号と予約がされる。 万が一にも閉館時間となっても翌日もう一度同じパスカードでタッチすると優先的に受け取りや手続きを行うことが出来るようになっている。 「あれ? もしかして優來ちゃん?」  声の主の方へ振り向くとそこに立っていたのは、幼なじみの木上院 明日香(きじょういん あすか)だった。 明日香は、私の前の家の隣りに住んでいた子で小さい時……事件前まで良く遊んでいた。 「えっ! もしかして明日香ちゃん?!久しぶり!」 「うんうん! 凄い久しぶりだね! 11年とかそれくらい振りだよね!」 「だよね!」  街を歩いていて偶々再会をした明日香。 私の家と明日香の家では良く家族で色々と一緒に行事をすることが多く、当時の私は明日香よりも背が小さかったので本当の姉のように思っていた事を今でも覚えている。
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