月見里要の場合

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  「彼女は、幸せそうだけどな。カナたちのペースでいいと思う」 「……くっそ」 「まあ、がんばれ。俺なんかにコンプレックス感じなくていいから」 「ハル先輩って、ほんとムカつくよね」 「そう? ありがと」  ハル先輩は、僕の前にのど飴を一個コンと置いて立ち上がった。飴、舐めないって言ってるのに。 「送辞は、彼女のことだけ考えて書いたらいいよ。思いっきりフォーマルな文章にしたら、みんな感動すると思うし」 「……頑張ります」 「うん。マジでやばかったら呼びに来いよ。掃除済んだら手伝ってやる」  そう言って、ハル先輩は空になった缶を持って体育館に戻っていった。  僕は今日も、あの人の自然体には勝てないなあ、と思うのだ。 .
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