55人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「彼女は、幸せそうだけどな。カナたちのペースでいいと思う」
「……くっそ」
「まあ、がんばれ。俺なんかにコンプレックス感じなくていいから」
「ハル先輩って、ほんとムカつくよね」
「そう? ありがと」
ハル先輩は、僕の前にのど飴を一個コンと置いて立ち上がった。飴、舐めないって言ってるのに。
「送辞は、彼女のことだけ考えて書いたらいいよ。思いっきりフォーマルな文章にしたら、みんな感動すると思うし」
「……頑張ります」
「うん。マジでやばかったら呼びに来いよ。掃除済んだら手伝ってやる」
そう言って、ハル先輩は空になった缶を持って体育館に戻っていった。
僕は今日も、あの人の自然体には勝てないなあ、と思うのだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!