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羊の毛
あるところの牧場に、雇われの身である若い男が二人いた。
この国の王が営む牧場から五十里離れたところから、ジプシーという男が馬に乗って牧場へやってきた。
彼は日が昇る前から眼を覚まし、顔を洗って朝食を食べ、馬に餌と水を与えてから牧場へ向かう。
牧場で飼っている羊達に餌をやり、水をやり、柵の門を開けて野へ放った。
もう一人の若い男、ジャックは牧場の小屋の外で昨夜から眠っていた。
ジャックが眼を覚ますと、羊達は原っぱを自由に掛けていた。
ジプシーは困った顔をして息を上げながら、彼に「日が真上まで昇る前に、羊達を集めて欲しい」と言った。
ジャックは、ぴゅーっと指笛を鳴らすと、一匹の犬が羊達をあゅというまに一塊に集め、牧場の小屋へ戻した。
ジプシーが王様が寝るための布団を作るために羊達の毛を刈ると、ジャックはジプシーが刈った羊の毛を身体に覆って再び眠った。
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