千歳原ひなたの場合

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どーせなら可愛くて最強になりたい。で、可愛いって最強だから、つまりわたしはかわいくなりたい! そういう願望を持つのって、当たり前だ。女子高生、18歳。そんなカテゴリは意味ありませーんって顔して可愛こぶれるのって、女子高生で、18歳の頃までだ。 「穂摘(ほづみ)ぃ、LINE交換してー」 「えー、どうしてですか」 「アカウント消した。あ、生徒会のグループにも入れといて」 「なんでなんでー?」 一個下の後輩の穂摘は、小首を傾げてスマホを差し出す。QRコードを読み取って、友達申請。 わたしのSNSアカウントの寿命は短い。 「千紘と別れた。そしたらさー、LINEめっちゃ来るからさ」 「えー、それで消しちゃうんですか」 「ダルいもん」 通知が来たので、承認。グループ入って、あーあとクラスの分といつものグループとー……。消しても消さなくても面倒だなー、なんて、思って。 「スタンプとかもったいなーい。着せ替えとかも」 「無料のやつしか持ってないし」 「トーク履歴も消えるのに?」 「要らない要らない。どうせ卒業だし」 「えー、ひなちゃん、千紘先輩と別れちゃったんだぁ」 「ひなちゃん言うな」 「ひなちゃん先輩」 「だめ」 「ひなた先輩。卒業だから、別れたの?」 コピー機がうぃんうぃん動いている。生徒会室には印刷室とか職員室で使わなくなった古いコピー機がたくさんあって、こういう急ぎの印刷の時に使われる。 「大学分かれるから」 「でも、別に県外に出るわけでもないじゃないですか」 「べつにー。大学で新しい彼氏探したいし」 穂摘がわかりやすくちょっと膨れた。ちょっと面白い。 「安心してよ、暁くんは卒業だからって縁切るような人じゃないって」 「暁先輩は関係ないですっ」 「ほんとー?」 「ほんとっ」 「あー、ひなたちゃんが穂摘ちゃんいじめてる」 「汐乃せんぱーい」
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