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凛の目的地の前で車を停める
「送ってくれてありがとう」
途中で寄った花屋で買った花を抱えて凛はお礼を言ってきた
「彼によろしくね」
「伝えとくね」
「凛、」
ドアを閉めようとする凛を呼んだ
「凛、好きだよ」
凛は顔を赤くして、私も!って言ってくれた
俺に手を振って目的地へと足を進める凛の背中をしばらく見つめた
今日は凛が「ホタル」と呼ぶ彼の月命日
毎月凛はここを訪れる
凛は彼のことを詳しく話すことはしないし、俺も聞かないけど大事な人だと前に言っていたのは覚えている
彼の分まで凛を想うと誓った夫婦になったあの日から
凛には好きだと伝えるようにしている
毎月同じ日は切ない気持ちになりながら1日が始まる
話したこともない、どんな人だったかもわからないけれど
凛の大事な人がこの世界からいなくなった事実はやるせないものだった
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