まだ誰かのお兄ちゃん。

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まだ誰かのお兄ちゃん。

20xx年 8月17日 木曜日、コンクリートがじりじりと焦げ出している夏の日のこと、 俺の最愛の妻、みゆきが行方不明になった。 . . 事件が起きてから3日が経った8月20日日曜日。3日間警察がいくら捜索しても妻は見つからなかった。それどころか目撃証言のひとつも出てこない。妻がその日以来忽然と姿を消してしまっている。妻の生死も無論わかっていない。 「本当にどこに行っちまったんだよみゆき…」 俺は頭を抱えた。 国外逃亡でもしてしまったのだろうか。 俺になにか不満があったのだろうか。 それとも誰かに誘拐でもされてしまったのだろうか。 今頃危険な目にあっていないか。 そもそもまだ生きているのだろうか。 3日で人が餓死することはないだろうがこの暑い夏の日のことだ。水がなくて熱中症になるなってしまって…… 考えれば考えるほどに苦しくなってくる。 どうか無事であってくれと願ってはいるが考えるたびに不安な思いが込み上げてくる。 「みゆき、戻ってきてくれよ…」 俺はただただ願うことしかできなかった。
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