私は間違っていない

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私は間違っていない

通っていた小学校の2階中央トイレの一番奥の個室の天井付近の壁には、横になった右手の黒い手形があった。 ただの手形ではなく、少し大きめで、指が骨のような形をしていた。 休み時間になるとよくそこで遊んでいた。 まず、扉横の壁に右手を付けてなるべく手形と同じ手を作る。 一度扉を閉め、10回ノックする。 次に扉を開けると指の間隔が変わっている。 そんな下らない遊びだった。 目の錯覚だったと思う。 しかし、当時は『開いてる筈なのにパーのように丸くならない』と不思議がっていた。 当然、これだけの遊びはすぐに飽きられ誰もやらなくなった。 十数日経った頃、久し振りにやろうと友達を1人誘った。 そしてあの個室へ行き扉を開けた私は戸惑い、恐怖し、友達と逃げた。 そこには左手の黒い手形があった。 他の子達に訴えたが、皆は口を揃えて「最初から左だった」と言う。 しかし、扉の開き方や壁の位置からして左では今までやってきた遊びは成立しなくなる。 あの時一緒に行っていた友達も元は右だと言ったが駄目だった。 今はもう行けないためどうなっているかわからないが、右に戻っていたら良いと思う。
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