3人が本棚に入れています
本棚に追加
「覚えている事・・」
そう言われ僕は記憶を辿る。
しかし何一つ思い出せそうに無かった。
「そうか・・
龍樹、さっき話した民話の話だが・・
あれは僕達の村に本当に有った話なんだ。
まあ少し脚色されてはいるし結末に至っては丸で違うが、たったひとつ・・
『人が龍になった』話しは本当の事だ。
と言うか、龍が幼い頃に自分の身を護る為に周りにいる動物や人間に偽体する姿のひとつとして『人型』を選んだ結果と言うか・・」
「何それ?
父さんからかうのはやめてよ。
そんな馬鹿げた話し今時子供でも本気になんてしないよ」
僕が笑いながらそう言うと父はは真顔で僕を見直す。
「嘘や冗談ではない。
本当に僕達は龍なんだ。
ただ昔とは違い人間が増えすぎた。
どんな山奥にも人間が入り込んで来るようになった。
人間とは弱く臆病な癖に残忍な生き物だ。
そして恐怖に理性を失うとなまじの化け物より始末が悪い・・
か弱い幼体にも容赦なく集団で襲い掛かる。
昔は何処にでも龍が生きていた。
だが人間に襲われその数か激減した。
ヨーロッパなどは何世紀か前には絶滅してしまった。
今はアジアの山奥に僅かに残るだけだ」
そこまで聞いても僕はまだ父が僕をからかっている気がする。
最初のコメントを投稿しよう!