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「俊ちゃん………?」
目の前の人を見つめたまま訊ねると、驚いた顔でまじまじと私の顔を覗きこんできた。
少し気恥ずかしい。
「……美月か?」
やっぱり!!!
「久しぶり!元気にしてた?何でここにいるの?」
俊ちゃんに会えたのが嬉しくて、落ち込んでいたのも忘れて矢継ぎ早に訊くと、俊ちゃんは苦笑ぎみに口を開いた。
「話するの、立ってからにしようか」
座って話していたことにすっかり気が付かなかった。
先程の衝突で落とした麦わら帽子を手に取って、差し出された俊ちゃんの手を掴みながら慌てて立ち上がった。
恥ずかしい・・・。
「美月はケガしてないか?」
俊ちゃんが顔を覗き込む。
心配そうに訊く俊ちゃんに少し照れる。
「大丈夫よ、尻もちついただけ」
ふと見せたその笑顔には昔の面影があり、懐かしさが込み上げる。
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